情報メディア学会: Japanese Society for Information and Media Studies
更新日[2015.09.19]

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情報メディア学会 第6期会長 中山伸一

会長就任にあたってのご挨拶

中山 伸一(筑波大学)

 西垣前会長からご推薦いただき,また第6期理事会の皆様のご推挙をうけ,この度,情報メディア学会の会長に就任することとなりました.本学会の会長は第1期,2期が坂元昂先生,第3期が渡部満彦先生,第4期,5期が西垣通先生と錚々たる方々であり,私では力不足との感を強く持ちました.しかし,一方において本務校で様々な役職を経験する中で,若い研究者が活発に活動できる場の必要性と,情報メディアに係る研究の重要性を体感し,会員の皆様と力を合わせることにより,微力ではありますが本学会の発展に寄与したいという思いもあり,会長をお引き受けすることとしました.

 情報メディア学は,高度に学際的な学問領域です.そのような複合領域を研究する人々に対して,様々な情報提供を行うとともに,研究を発表する場・意見交換する場を提供するのが本学会の主たる役割です.これまでの会長や理事・監事,会員の皆様のご努力により,他の学会とは異なる特有の研究領域を対象にした学会を形成する事ができたものと考えております.

 さて私事ですが,この4年程図書館長として大学図書館に関する様々な会議等に出席しております.最近の大きな話題の1つに電子ジャーナルの価格高騰問題とオープンアクセスがあります.それは,研究者の業績と評価にも関わりを持つ根深い問題と考えられます.出版社は,電子ジャーナルの価格が上がる理由に,投稿数が増えてコストがかかることをあげます.一方,研究者も自分の評価を高めるため,論文を量産し,それをできるだけ評価の高い論文誌に投稿しようとします.出版社はその受け皿となる論文誌を増やし,全体としての学術情報の量は増大の一途をたどっております.大学図書館界はオープンアクセス運動でその動きを牽制しようとしましたが,APCを伴うオープンアクセスジャーナルという形で切り返されてしまいました.学術情報流通をどのように行い,それを研究者の評価にどのようにつなげて行くかは,大変大きな問題です.しかし,個人的には学会がこのような流れに反対せず,それに同調して学会誌の値上げをはかっていることも大きな問題と考えております.

 本学会の論文誌『情報メディア研究』はAPCを取らない完全なオープンアクセスジャーナルになっています.そのコストは会員の皆様の学会費によって賄われています.学会の役割がその学問領域の活性化であるなら,その中心となる学会誌を収入源とするのではなく,それを会員全体で支えていくのは自然な形ではないでしょうか.前期に引き続き,今期も事務局長を併任することとなりました.昨年度から始めた奨学旅費助成制度のように,学会費をできるだけ有効に学会の活性化につなげられるような方策を引き続き検討していきたいと思っております.

 一方,人口減少という日本特有の問題の中で,大学や企業の活力は低下し,多くの学会で会員の長期的な減少が続いております.本学会も近年会員数の斬減傾向が認められ,研究大会や研究会の参加者や発表件数も伸び悩んでいるように見うけられます.しかし,会員数の減少と学会の活力とは無関係であり,研究者が活発に活動できる環境をしっかり作る事ができれば,その学会は多くの成果をあげることができ,世に認められていくものと思います.

 第6期の理事は,若手・中堅を中心に今後の本学会を担う方々で構成されております.活動的な方々ですので,学会を活性化する様々なアイデアを実現していただけるものと確信しております.会員の皆様におかれましても,情報メディア学の発展に寄与すべく,様々な面から本学会の活動に参画していただければ幸いです.

(2015年9月)


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